ポストに入っていた一通の手紙。宛名も送り主の名前も何もない。
とりあえず、その場で封を切った。本当に自分宛ての手紙なのかそれさえも怪しいのだか、これは自分に宛てた手紙だなとよく解らない確信があった。
中を確認する。便箋は一枚だけ。そこに添えられた一言。
〝片耳ウサギと遊んで〟
足元にふわりと柔らかな、暖かい感触。目をやると一羽のウサギが足元に擦り寄り、こちらを見ていた。生まれつきなのか事故か病気にでもあったのか、左耳がない片耳のウサギ。レースをあしらった首輪のようなものを着けているが、飼い主でもいるのだろうか。
「君と遊べば良いのかな?」
そのウサギは、「そうだよ」と言わんばかりの不敵な笑みを浮かべたようだった。